ESSENTIAL THINGS/ARCADE BAKERY

NY、ロウアーマンハッタンに位置し、元倉庫街であったトライベッカ。1920年代のオフィスビル。

外は控えめな看板だけで、重厚な回転ドアの軋む音がなんとも愛らしく、

ドアを抜けて奥に入ると、ベーカリーがひっそりと存在している。

このARCADE BAKERYは、その名の通り、アーケードを利用したお店。

銀行のATMコーナーを改造したベーカリーで、

通路にあるイートインスペースは、テキスタイル会社のディスプレイ用ショーケースを利用し、

廊下の壁際にテーブル席があるという、珍しい造りになっている。

 

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ヨーロッパに比べて、NYでは焼き立てのパンを出すお店はほとんどなく、

店主Roger Guralは、20年以上様々なベーカリーで修行を積み、パンの鮮度を大切にしている。

焼き立てのパンを食べてほしい思いから、

ショーケースには必要最低限の商品しか置かず、少しずつこまめに焼いているのも、その為だ。

InstaSize_0414155625「出来立てのパンをリーズナズルに提供したい」

上質なものを安価で届けたい店主の想いもあり、家賃を抑える事も重要で、この場所を選んだ。

ひと気のない場所でお店を開くとこ、それを後押ししたのは、意外にも、日本のお鮨やさんの存在であった。

InstaSize_0414155902銀座すきやばし次郎

ミシュランガイド東京に、数年連続三ツ星を獲得し、アメリカ大統領や海外セレブも来日するとお忍びで来店する、銀座の古い地下街にある高級鮨店。

アメリカ人のデビッド・ゲイブが監督をしたドキュメンタリー映画『二郎は鮨の夢を見る』の舞台となったお店である。

2012年3月、ニューヨークで上映が始まったこの映画は、口コミで瞬く間にヒットを続け、その後日本へ上陸した。

映画では、職人技術の継承、伝統的な作法などが描かれており、

Roger Guralは、この映画の主人公である店主・小野二郎氏から、映画を通じ、物事の本質を見極め、

 

————————-「クオリティが良ければ、どんな場所でも人は必ず集まる」—————————–

 

そう確信し、この場所にベーカリーをオープンさせ、今では、NYベーカリーの代名詞となっている。

日本の古き良き伝統や作法、考え方が、思いもよらない処で、きっかけになる事に歓心を得てしまった。

 

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人気のクロワッサンやバケットは、中がふわっとしたバターの風味豊かなシンプルな美味しさであった。

ローカルの間では、実はピザも有名で、12時から14時のランチタイムにすぐに売り切れてしまう人気ぶり。

ミニマルな店舗ながら、日本人が大切にしていること、店主のこだわりと思いが十分に詰まった、

パンだけでない本質を提供しつ続けている、ニューヨーカーに最も愛されているベーカリ-である。